教育問題のひとつであるいじめ対策について畑さんが解説

教育問題は大きく分けて就学前と就学後に分けられる

教育問題というものは大きく分けて就学前と就学後に分けられます。

就学前はまだ子どもだけで活動をすることが少なく大人の介入があることが多いので、子ども同士のけんかも大人が間に入ることで大きな問題になってしまうことが少ないように思います。

またその時期の子どもはまだ人間同士の深い関係を持つほどに成熟しておらず、家の中での生活が中心になっているために友だちの存在がそこまで大きくありません。

これが就学後になると親と離れている時間が急激に増えて、学校の中でも教員は限られているため、子ども同士でトラブルを解決していかなくてはいけなくなります。

低学年のうちは教員の目が届くことが多いのですが、高学年になると大人の目の届かない場所でいじめのようなことが起こる可能性が潜んでいます。

いじめ問題はたびたび問題になりますが、いじめをしている当人やいじめを受けている子どもばかりに焦点があてられて根本的な解決がなされないままに問題が収束してしまうことがあります。

いじめは人間がいるところではどこでも多かれ少なかれ存在していると思われますが、それでもいじめを少しでもなくすような働きかけをしていくことが重要です。

いじめが起こるような年齢になってから対策をしても遅い

その時に重要なのがいじめが起こるような年齢になってから対策をしても遅いということです。

子供が思春期を迎える頃は人間関係も複雑になる時期ですが、いじめもその時期に深刻化しやすいという特徴があります。

しかしいじめの原因となるようなことはもっと前から起こっており、思春期を迎えるよりもずっと前の段階である就学前の時期から考えていく必要があります。

子どもが成長していく時には最初に自分以外の人として家族と出会います。

それから家族以外の他者と出会いますが、他者とのふれあいを繰り返していく中で人との付き合い方を学んでいきます。

人は生まれてきた段階では食べたり排泄したりする本能的なことは体に身についていますが、他者との関係を持つという社会性はほとんど身に付いておらず、生まれてきてから経験を繰り返しながら習得していく技術です。

そのため実際に色々な人と関わりを持っていくことで学んでいくために、関わりの機会を多く持つことが重要です。

それが就学前の時期になりますが、この時には大人はできる限り口出しをせずに子ども同士で問題を解決させる経験をさせるようにすることが大切です。

この時期に人間関係の基礎を学ぶことになり、相手がどのような気持ちになっているかを知る時期です。

そのため自分で相手と直接関係を持ち失敗をしながら学んでいくことが重要です。

この時に親がおぜん立てをしてしまうと子どもが自分で考えて人との関わりをする機会を失ってしまい、そのまま小学校に入学しそれから初めて自分で考えて人との関係を作り上げるようになります。

そうなると失敗をする経験を持たないままに小学生になってしまうために、相手との関係を作るためにどう行動していいかわからなくなるということが起こります。

そうしたことの繰り返しで思春期を迎えてしまうと、相手との関係をどう作っていいかわからないままでいじめという行動をとってしまうのです。

もちろん全てのいじめ問題がこういった原因で起こっているわけではありませんが、こういった原因で起こっているいじめも存在します。

就学前の時期の過ごし方が重要

これを改善するためには就学前の時期に子ども同士で喧嘩をしたりしながらお互いの気持ちを理解し合って関係をつくりあげていくという経験をさせることが大切で、この時期にそういった経験をしておかないと、後からでは人間関係のやり取りを上手く見につけられないことがあります。

それほど就学前というのは重要な時期で、まだなにもできないからといって親が全てをしてあげたくなりますが、本当はこの時期こそ自分で色々なことができるようになるよう見守っていく姿勢が大切な時期です。

もちろんしっかりと見守ることが大切で親が見守ってくれているという安心感があるからこそ子どもは色々なことにチャレンジして失敗もすることができるのです。

また就学前の時期の過ごし方がのちの思春期のいじめ問題とつながっているという意識を持って過ごすことで親も目標をもって毎日を過ごせるようになります。

子供の成長は急に始まるわけでなく、生まれた瞬間からずっと続いているということを忘れてはいけません。

赤ちゃんが生まれたばかりの頃は教育問題やいじめ問題はずっと先の問題のように思えてしまいますが、実はすでに生まれた時点から教育問題への対策をする時期に入っており、小さな頃の過ごし方が大きくなってからに影響を与えるということを覚えておきましょう。

小さな頃にたくさんの経験をして相手の気持ちを考えることができるようになれば、その子は大きくなってからもいじめ問題に直面する機会を少なくできる可能性があります。

「いじめ問題を解決するためには就学前の幼少期の時期の過ごし方が重要です。」と畑さんはおっしゃっています。

・畑さんについて詳しくはこちら→畑 恵

最終更新日 5日 by 2demay